複数ドローンの同時運用
複数ドローンの同時運用
インタビュー
川口 真史
Chief Marketing Officer

【Q1】OKUMA DRONE(以下、OD)のドローン事業について教えてください。


各産業の企業活動に貢献できるドローンソリューションを考案しています。対象の主要産業としては、農業、林業、建設、測量、施設点検、輸送、防災、防犯といったものになり、特に社会課題の解 決につながるテーマを探求しています。
具体的には、点検のために人員を派遣しにくい過疎地域の線路の点検業務、土砂災害後の緑化 のための種子散布、災害後の家屋の測量といったことの実証実験を多数行っています。


【Q2】OD のドローン事業の中で、特に収益を生み出しやすい事業はどのようなものになりますか?


ドローンは、従来人間が行っていた業務を機械に置き換えることにバリューがあります。しかしながら、特に特殊なテーマになるほどハードウェアは高額になり、かつドローン1機に1人もしくは2人分の運営委託費用が発生し、従来手法からのリプレイス効果が高くなりません。結果、全国各地で 実証実験だけは増えるのですが、実用化まで至らないケースばかり。これが現状のドローン業界の難しさです。
私たちの思想は、1人で複数機を同時運航管理することで、同じ面積当たりの企業側のコスト負担を最小化することです。その結果、多くの産業の現場で、ドローンの利用頻度が高まり、ドローンメーカーやオペレーション提供側は売上の増大を実現します。ODでは、そのためのソフトウェアも開発しています。


【Q3】 複数のドローンを、同時に運航管理を行う利用シーンは、それほど多くないと思いますが、そのサービスの普及のために、どういった取り組みが必要ですか?


多くの場合、まだまだ 1 現場 1 機程度のケースが多いのは確かです。一方で、私たちが取り組んで いる東南アジアに目を向けると、いくつかの想定需要シーンが既に存在し始めています。
たとえば、マレーシアやインドネシアの大手オイルパーム企業の農場は、平均が2,000ヘクタール (東京港区と同程度)と、たいへん巨大です。全国の農場で深刻な病気被害が多発しており、パン デミックを防ぐために多数の検査人員が投入されています。
しかし大手企業がドローンへの置き換えを試算したところ、年間コストが従来の 3 倍以上になってしまい、ドローンへの置き換えがなかなか進んでいません。あまりに規模が大きく、高額なドローンオペレーターの費用インパクトが大きすぎるのです。こういった大規模な現場においては、複数同時 運航の導入効果は大きいと思います。


【Q4】 そのサービスの進捗や、実現性をお聞かせください。


実は、複数機の同時運航管理システムの基礎開発は既に完成しています。現在、汎用的なソフトウェア製品化するために、国内外のドローンメーカーらと共同で実証実験を行い、アップデートをしています。
一方、産業用ドローンは、その特殊性からハードウェアもパーツも高額で、高額な保険に加入するか、落下し破損するたびに買い替える必要があります。
複数同時の運航に対応し、かつ、劇的な本体コストダ ウンを実現する製品パッケージを目指しています。